紀元前4000年前後の中東地域で生活していたという古代バビロニア人。
メソポタミア時代の中でバビロニア人は『楔形文字』と呼ばれる古代文字を使用し、粘土板を葦で削ったペンで筆記していたとされています。
その多くはいまだ謎に包まれていますが、実は古代バビロニア人は世界初の三角法を発明していたのです!
高校教育で教えている従来の三角法よりも遥かにシンプルで正確性も高く、いかに高度な文化をもっていたか窺えますね。
ジャーナル誌『Historia Mathematica』に掲載された研究報告によると、
「バビロニア人は直角三角形の辺を正確な比率だけを使って、三角法の表を作れたことを示しています。これは、よく知られている現代の角度の概念を必要としない、全く異なる三角法」
だと発表されています。
現在の高等学校教育で指導される三角法は、『直角三角形の形状は2つの角度に依存する』と言われています。
この角度は、円の円周に関連しており、360度または度に分割されています。
しかもこの角度はサイン、コサイン、タンジェントを通る、直角三角形の辺の比率を記述されるために使用されます。筆者もまさに三角法の計算は苦手で、思いだしただけでも頭が痛くなってきますね…。
しかし、円と直角三角形は形状から異なっており、角度に対する単純な数値を求めるまでの値は、非常に複雑で、類似する比率を求めるために、非常に複雑な計算が求められます。
この三角法はギリシアの天文学者で、数学者のヒッパルコス(推定没年B.C127年前後)が発明した、とされています。
ヒッパルコスは月と太陽の軌道を計算するために、三角法の表を使用しており、『三角法の父』と言われていましたが、今回の研究によって、『これが三角法の最初期、また最良の計算法ではない』ということが示されました。
バビロニア人の三角法はギリシャで発見された三角法より、1500年前の古代バビロニア時代(紀元前1900-1600年)に発明されました。
注目すべきは『この三角法は現代の三角法の特徴のどれも含まれていない』ことで、角度を使用せず、ヒッパルコスのものと類似点もありません。
バビロニア人は直角三角形の概念を全く違ったものと捉えていました。
まず、直角三角形を四角形の半分と捉え、60進数(六十進法)を用いることで、正確な比率だけを使って、様々な直角三角形を構築することを可能としました。
確かに、三角形の面積を求める公式も『底辺×高さ/2』ですので、バビロニアの三角法にある対角線で分割する発想は理に適っていると言えそうです!
60進数は例えば、1時間を3で割ると20分になります。
しかし、1ドルを3で割ると33セントに1セントの余りが出てしまいます。
これは時間とドルの基礎となる数字が違うために起きるもので、この時間のほうが60進数、ドルが10進数という計算で行われています。
計算機も存在せず、文明としても発展途上にあった古代バビロニアで、ここまで正確な計算が完成させられていたという裏付けも、
現在のイラク近辺に存在したする古代都市・ラルサで発見された『プリプトン322』と呼ばれる、粘土板の断片からも明らかにされています。
文明として現代よりも未発達だった古代人が、図形や空間の性質に対する幾何学にも正確な計算を導き出すために用いられていたというこのバビロニア三角法は、どのようにして発見されたのか現在も研究が進んでいるところ。
謎に包まれたアーティファクトを生み出したバビロニア人とは一体何者だったのでしょう?
もしかしたら現代よりも科学技術が発達した文明だったかもしれませんね!
現代と同じくらいの数学が古代に存在していた可能性もあります。その文明はどうなったのか?どうして亡くなったのか?まではまだまだ謎ですね