密林の奥地に潜む古代都市の遺跡――というと、映画の脚本でよくある舞台設定ですよね。
ですが、グアテマラで発見されたものは正真正銘、ジャングルの地中に残された古代遺跡だったのです!
スポンサーリンク
中央アメリカに属するグアテマラ共和国
ペテンジャングルの中で秘されていた遺跡は『大進歩』と称賛されるほどの歴史的発見でした。
ピラミッド、宮殿、路面などを含め、およそ6万ものマヤ文明に関する建造物が地中に埋まっていたのです。
考古学の研究者らは、ペテンジャングル北部の森林の下にも埋没していないか調査する為、レーザー技術(LIDAR/ライダー)を使用して、さらなる調査を行っている最中です。
このLIDARでの調査により、多くの専門家が信じていたより、遥かに複雑、かつ広大なメガロポリスであることが明らかになりました。
この遺跡は中米で1,500年前にピークを迎え、古代ギリシャや中国の文化よりも、高度な文明を保持していたことが示されています。
マヤ文明の遺産は『新大陸の発見者』と評されるクリストファー・コロンブスが上陸してから、征服期に大部分が焼き払われてしまったとされている。
今回の発見は、その中でも発見されることがなかった一部であり、歴史的価値の高さも頷ける。
ブラウン大学の考古学・人類学教授、スティーブン・ヒューストン氏はBBCに向けて以下のようにコメントしました。
これは150年余りのマヤ考古学における、最大の進歩のひとつでしょう。LIDARのイメージを見たとき(双曲的に聞こえるでしょうが)その全容に私は涙していた
スポンサーリンク
LIDARでわかったこと
LIDARとは『光検出と測距』のこと、光を用いたリモートセンシング技術のひとつ。パルス状に発したレーザー光に対する、光の散乱から距離や対象物の性質を測るものです。
今回の調査では航空機に搭載し、GPSシステムにリンクされた光を使用して、3Dマップを作成しています。
LIDARによる探査により、研究者らは『元の住人が放棄した後、何百年もの間ジャングルの下に隠されていた。多数のマヤ都市を描写した概要』を描くことに成功しました。
かつて隆盛を極めたマヤ文明の名残が色濃く残る、歴史的にも、文化的にも『遺産』と呼ぶに相応しい古代都市は、我々の想像を上回る技術の中で生活していたのです。
これまでに知られていなかった構造は数多くありますが、画像には都市中心部と採石場をつなぐ、隆起した高速道路があります。
マヤ文明はメソジメアで最も進んだ文明のひとつ。農業の要と言える灌漑の先進的なシステムと、台地も発見されています。
マヤの知識は洗練されたもので、とくに数学と工学は現在の中米、南メキシコにも広がっていた。
発掘プロジェクト代表の一人であるマルセロ・カヌート(Marcello Canuto)氏は以下のように述べています。
今回の調査によりLIDARは大いに役立った。ジャングルを調査する為に、伐採する必要はもうない
研究は加速する
自然保護の意識が世界的にも高まっているので、乱伐せずに済むのは重要です。
また、グアテマラ北東部、主要観光地でもあるティカルのマヤ市街にはピラミッドがあることが判明しました。
メソアメリカでのピラミッドは主に『神殿、祭壇』といった信仰対象が祀られることが多いです。このピラミッドには、どのような意味があるのでしょうね?
テュレーン大学のFrancisco Estrada-Belli氏は「新たに発見された構造と大きな通路により、以前は想像もできないスケールでマヤによってつくられた自然の景観が変わっています」とコメント。
これらの発見は、マヤ考古学の革命である
考古学者チームは、メキシコとベリーズに隣接するペテンジャングルの810平方キロメートル(2,100平方キロメートル)を調査。
この地域だけで歩道、住居、テラス、儀式場、灌漑用水路、要塞などの都市機能を含んだ、約6万の都市機能を過去2年間に発見しています。
隠されたマヤ文明の遺産から、失われた歴史を見つけることは出来るのでしょうか?