人間の三大欲求は、食欲、睡眠欲、性欲だ。
食欲は肉体維持の為の栄養摂取、睡眠欲は精神安定の為の休息時間。
そして性欲は子孫繁栄のため…というより、遺伝子を残そうとする『生存本能』に近い。
そのため、食欲や睡眠欲より抑制しがたい生理現象と言えるだろう。
3,000年前のエジプトでも、欲求を抑えきれずに犯罪を犯してしまった男性が数多くいたことが古代エジプトの書物『パピルスSalt124』にも記されていた。
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再評価された多数の証拠書類
当時の男性が犯した強○、○的暴行などの訴訟にまつわる書類は多数残されていた。
それについて、エジプトの製紙技術の結晶であるパピルスは再評価を受けている。
王家の谷にあるファラオの墓の建設監督をしていた主任職人・パネブという人物が、道徳的に腐敗した行為を行なった実態が残されていた。
その中には、近代エジプトのルクソール内にて起きた、女性集団へ暴行を加えていたことも記されている。
専門家は大英博物館が所蔵する『パピルスSalt124』に含まれている文字を再確認し、古代の性的政治に対する文化的な態度の調査に乗り出した。
古代エジプトというと『奴隷』を連想する人もいるだろうが、実際は奴隷も自由民も待遇に変わりは無い。
一説によると『ピラミッド建造の報酬にビールが飲めると聞いて、一般市民が喜んで建設作業に参加した』とさえある。
どちらかというと、奴隷は『富裕層に該当する、一個人の有した労働力』と考えられるだろう。
見方を考えれば「他者の所有物に対して、危害を加えた」ともいえる、となれば古代エジプトにおいても『立派な犯罪行為』だろう。
いつの時代も○的暴行は恥ずべき行いである。
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書物に残された内容とは
テキストを分析する考古学者の中には、デジタル書籍プラットフォームNarrative.lyで解説約を務める、ブルックリンの歴史家カーリー・シルバー(Carly Silver)も参加している。
彼女は法律上の記録の中で驚くべき記述を発見した。
それは『女性に暴行を行なった男性について、どのような罪状が述べられたか』を示している。
「訴状を出したAmennakhtは、パネブが行なった仕事上の盗み、寺院や王宮からの物資強奪、神聖な土地の侵害、宣誓の下での虚偽や、一夜に九人の男性と行なった暴行と、王室労働者の借用する地元主婦との姦通も取り沙汰しています。この訴えに主観的観点があったとしても、立派な『告発状』だったと言えます」
解雇の根拠として、○的違法行為を非難した、当事者達の最古の実態記録であるかもしれない。
つまり、3,000年以上前までは正確な判例が残されていなかったのだ。
古代文献に残される意味
文献にあるものよりも、さらに興味深い点は『残されているもの』だ。
つまり訴えられた問題の審判までのプロセスであり、古代エジプトだけで無く現代社会においても興味深い疑問が生じている。
数人の歴史家によれば古代エジプトの『悪い少年』と呼ばれたパネブの話は、19世紀初頭のエジプト学者ヘンリー・ソルトの蒐集物の1つであったが、大英博物館に初進出したものではない。
1929年にチェコのエジプト学者ヤロスラフ・セルニー(Jaroslav Cerny)が英訳したことで、パネブの犯罪疑惑が明るみになり、歴史家達がその文献を改めて調査することになったのだ。
その訴状はパネブの同僚が作成し、セティ2世、シプタ、タウサレ、セトナクテ。
さらにラムセス3世が治世を治める、古代エジプトの最高幹部に宛てたものだった。
男の犯した冒涜的な罪状は既に裁かれたものだが、現代社会で蔓延る問題は『現在進行形』の問題でもある。
スリルや背徳感、ストレス解消のために第三者を巻き込む、身勝手な行為は動物的な欲求と変わりない。知性ある人間として行動するよう、襟を正すことは3,000年前から課せられた命題だ。