言葉を知らない少年がいた。
19世紀のことであり比較的文明が発達している最中に発見された少年の名前はカスパーハウザーである。
カスパー・ハウザー少年の事件簿はいまで背筋を凍らせる世界のミステリーとして語り継がれているのだ。
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16歳で発見された少年
ニュルンベルクのウンシュリット広場で16歳の少年が発見された。
発見当初、どこからか拉致をされてしまったのではないか?と当時の人々は心配になり少年を必死の思いで介抱したのだ。
しかしその少年は自分で自分の名前を名乗ることは無かった。
自分の名前どころか一切を語らなかったのだ。正確にいうと語ることができなかった。
それは精神的なショックが原因というわけではなくて失語症というわけではなく、元々話すことができない少年だということが後にわかった。
つまり言葉を知らない、言葉を持たない少年だったのだ。
その少年は気分と身体の健康が回復して行ったときに自分の名前を「カスパー・ハウザー」と名乗った。
カスパー・ハウザーという名前はほんとの名前だったかは定かではないがこのように名乗った。
保護されたときに食料としてお肉や魚を与えたのだが口に含んだ瞬間にすべてを吐き出してしまうために
カスパー・ハウザー少年が口に出来たものはパンと水のみだったのだ。
奇妙なカスパー・ハウザー少年、もしかしたら別の世界に住民なのではないか?と恐怖に感じるものもいた。
同じ人の形をしているのだけれども話すことはなく、そして普通の食事すら取ったことがない。
これが小さい赤ん坊であればまだ解るが青年のような年つきだったので余計に奇妙に映ったのだった。
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限られた世界で暮らしていたために五感が異常なまでに研ぎすまされていた
ずっと牢獄のような環境で過ごしていたカスパー・ハウザー少年はいわゆる野生児に分類される。
そして言葉を持たず限られた世界にいたためにその五感は普通では考えられないくらい敏感で繊細だった。
ワインの匂いをかいだだけでも酔っぱらってしまうし、100mさきの遠くの人の話声まで聞く事が出来、
さらに視力も驚異的で1km先まではっきりと見ることができるのだった。
普通の世界に戻ってきてからは少しずつ言語も習得できるようになってきたのだが、もともと狭い場所にいたので
いろいろな情報、刺激に晒されることで気分が悪くなったら突然頭を抱えてその場から動けなくなったりもした。
しかし突然悲劇は起こる
徐々に都市での生活に慣れて来たときに突然なにのもかによってカスパー・ハウザーは無惨な姿になってしまった。
これは元々カスパー・ハウザーを監禁していた何者かによって起きた事件であると思われている。
しかしなぜ彼は何年もの間監禁されてしまったのかは一切の謎である。
野生児に分類されるカスパー・ハウザーはどのように言語を習得して行き、どのように人とコミュニケーションを取って行くのかは
研究の対象となっていたのだが、悲惨な悲劇は起きてしまったのだった。
さてカスパー・ハウザーは本当はどこから来たのか?
真実は闇の中に葬り去られた