1872年にイギリスでメアリーセレスト船が発見された。
その船を詮索してみるとなぜか誰も乗っていなかったのだ。
なぜ誰もいなくなったのか?
乗組員全員が謎の失踪を遂げたことが、100年以上経った後もミステリーとして人々の記憶に刻まれている。
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船自体が呪われている
メアリーセレスト船の大きさは約30メートルで300トン近くの重さがある。
元々はカナダの都市で作られ、名前をアマゾン号と名付けられた船は
所有者が変わる度に名前が変わって行き、1869年になってからはメアリーセレスト号と名付けられるようになったのだ。
このアマゾン号を作っている最中から船大工な不慮な事故に巻き込まれたり、
家族ごと行方不明になっていったりと当時からいわくつくの船だったのだ。
船ひとつ作るのにも莫大なお金がかかるので一度建設しようとしたらなかなか途中で計画を頓挫することができないために完成されたと言われている。
なので巷の人々は「呪いの船」「人が憑いた船」と揶揄する声も多かった。
そのためなのか、何度も所有者が変わっているのである。「所有者を選ぶ船」と言われることもあった。
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事件当日の組員は10人
メアリーセレスト号はニューヨークからイタリアにメタノールを乗せて運んでいた。
この事件が起きた時の船員は
船長のベンジャミン・ブリッグズ、妻、娘のマルチダと7人の他の船乗りだった。
その船が漂流していたのをみつけたのはデイグラツィア号のモアハウス船長。
本当にたまたまだったかは定かではないが
船を出す前に二人で飲み屋でお酒をかわしていた姿が目撃されている。
漂流しているのに気がついたモアハウスはすぐにメアリーセレスト号に着陸してみたがそこには誰一人として船に乗っていなかったのである。
不思議なのは羅針盤は壊れて、角度器も壊されていたにも関わらず
食料は6ヶ月分は積んであったのだ。
もし海賊に襲われていたのであれば食料は取られていたはずだし積んでいたエタノール1700樽のうち1691樽は綺麗な状態で置いてあったのだ。
まさに人だけが消えていたのだ。
モアハウス船長がこの船を発見した時には朝ご飯が食卓に並べられていたという説があるがこれは後付けでありなにもその証拠は残ってはいない。
またモアハウス船長がこの船を探索したときにはなぜか船の内部が水浸しになっていたと語っている。
嵐や津波に襲われた形跡はなかったのではあるがなにか関係しているのだろうか?
裁判による証言にも不一致が
モアハウス船長は、「メアリー・セレスト号ブリッグス船長と結託した海難事故詐欺」として裁判にかけられたのだ。
当時、海難船を助けるとその一部が功績として認められ国からお金が支給される制度があった。その制度を利用して詐欺をしたのではないか?とモアハウス船長は疑われた。
そしてモアハウス船長とともに航海をしていたデボー一等航海士は裁判で以下のように証言している。
- 甲板の浸水がひどく、船倉には3フィート(約1.1m)に渡って海水が侵入
- ポンプは1基を除く全てが操作不能
- 六分儀、クロノメーター、救命ボートが見当たらない
- 全体の損傷は見られず、船を放棄するほどの被害はない
- 暴力や破壊の形跡はなし
- 食料や衣服などは十分にある状態
- 積荷の工業用アルコール1700樽のうち、破損した9樽だから中身が流出
- 航海日誌の最後の日付は11月24日、「アゾレス諸島の西方160航行中」と書かれていた
このように証言しているが、謎が多く残る
失踪事件の謎
この事件には多くの謎が隠されている。
特に気になった部分は
作りたての朝食
謎の航海日誌
満帆の食料
消耗した救命ボート
謎の血痕
これらである。
救命ボートは無理やり使用された痕跡があり、しかもロープには血痕が残っている。
いきなり人が失踪するには不可解な点があまりにも多すぎるのだ。
計画を持ってして失踪したなら朝食は作らないし、食料も大量に積む必要はなかった。
もしかしたら何者かに襲われた可能性がある。
これまでメアリーセレスト号の事件に関して様々な説があった。
宇宙人に誘拐された説、巨大イカに襲われた説、バミューダトライアングルに入ってしまった説、暴風雨に巻き込まれた説。
一見するとほとんどがオカルトでまともなのが暴風に巻き込まれた説だが、乗組員全員が突然の暴風雨で海に投げ飛ばされたと考えるのは普通ではない。
そう、やはりこの船には深いミステリーが隠されているのだ。
40年後 フォスダイク文書が発見される
この事件の丁度40年後にフォスダイク文書という文書が公開された。
これはフォスダイクが書いたとされる文章でフォスダイクが死んだあとに友人によって新聞に載せられた文書である。
フォスダイクは実は奇妙な事件が起こったメアリーセレスト号の密乗した人物であり船長のブリッグズの友人であった。
公開された文書は以下の通りである
船長が部下に対し「人間は服を着たまま泳げるのか」という疑問を投げ、船長自身がその証明に甲板から外へと飛び出し、周囲をふざけて泳ぎ回った。それを見た乗組員が面白がり、数人が続けて海に飛び込む。
皆が泳ぐ様子を船長の妻と子ども、フォスダイク、2人の乗組員が特別デッキに上がり楽しく眺めていると、突如として海上にいた船員が苦しそうに叫んだ。
見るとサメに襲われており、彼はすぐに海に沈んでしまう。
残りの乗組員も特別デッキに上がって何が起きているのか確認しようとするが、運悪くそのデッキが壊れ海に投げ出されてしまい、こうしてマリー・セレスト号には誰もいなくなった。
そして偶然デッキの破片の上に落下したフォスダイク以外は全員サメに襲われ死んでしまい、流されたフォスダイクは後日、アフリカの海岸に漂着して生き延びた
なんとも奇妙な話だろう。
元々良くないことが付きまとっていたメアリーセレスト号。本当の真実はいまでもなお闇の中である。