現実の物語が小説になることはあるが、小説の物語が現実となってしまったら?
しかもその現実はなんとも言えない悲劇だったとしたらあなたは恐怖を感じずにいられるだろうか?
今回は仮想小説が悲劇の現実になった事件を2つお話しよう。
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タイタニック号沈没
タイタニック号の悲劇は映画にもなっているのでほとんど人は知っているだろう。
豪華客船であるタイタニックが沈没する前に実はとある小説の物語で描かれていたのだ。
1912年に世界一豪華な客船として知られたタイタニック。
「絶対に沈むことはない!」という触れ込みだったが無惨にも船は氷山に当たりそれが原因で沈没してしまった。
乗客は2224名いたが生存したのは700名に満たない。
これがタイタニック号沈没の真実ではあるが
その14年前の1898年にモーガン・ロバートソンという人物が書いた「フューティリティ」という小説の中でタイタン号という豪華客船が存在し、タイタニック号の沈没までの過程とその結果が全く同じだったのだ。
その似ている点は以下である
- 航路はサザンプトンからニューヨーク
- 氷山に激突したことがきっかけで崩壊
- 「絶対に沈む事がない」という触れ込み
- 豪華客船で客員が多いのにも関わらず少ない救命ボートの数
- 船員の数
ここまで奇妙な一致は起こるものだろうか?
モーガン・ロバートソンという人物が書いた「フューティリティ」も作者のモーガン・ロバートソンもこれまでぱっとしない小説家であったが
タイタニック号沈没と全く物語が一緒だったために注目されることになり、後に巨万の富を得ることになったのだ。
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ミニョネット号事件
1884年、イギリスで一つの船艦が完成した。立派な船艦とは言えないものの実業家であるウォトンが購入した船・ミニョネット号であった。
ウォトンが取引先と故郷であるイギリスを往復するために購入されたのであるが
その試験のために4人の男がこの船で航海を始めた。ミニョネット号の航海が悲劇を生んでしまうことはこのときは誰も知る由はなかった。
その船・ミニョネット号に4人の男が乗っていた。
船長ダトリー、員のスティーブン、ブルックス、見習いのリチャード。
イギリスの海は突然荒れる傾向にあり、もちろん船長のダトリーもそれを知ってはいたが
試運転的な意味合いが強かったので荒れる海の対策はとってはいなかった。そして大きな津波に船が巻き込まれてしまい、船は沈没間近になってしまった。
船長はこれ以上この船に留まっていることは非常に危険だと判断し、
すぐにボートを出すことを決めた。そして4人はボートで海を出たのだ。
さらにハプニングは続く。
試運転のつまりだったために食料を持ってきてはいなかったのだ。
船からボートに乗り移ったときには缶詰がたったの2つだけ。
これでは大の大人の胃袋を満足させることはできなかった。
海水は飲むことは出来ず、釣り堀を海に垂らしてたまたまヒットする魚を4人で食べ繋いでいた。
海でボートで遭難してから20日経過したところで、
見習いのリチャードパーカーは力尽きてしまう。
リチャードの血をすすりたい、肉を食べたい。
人食はキリスト教の中でももっとも罪が深い事を承知していたが、食欲を満たしたい欲望には勝てなかった。
結局3人はリチャードパーカーを食べてしまったのだ。
食べているときに援助部隊が到着し、リチャードのおかげで生き残った3人は裁判にかけられることになったのだ。
これを船の名前からミニョネット号事件と言う。
そしてなんとも不思議なことに小説家エドガーアランボーの小説「ナンタケット島出身のアーサーゴードンピムの物語」では
登場人物の4人が航海していると突然の嵐に襲われ、4人はボートで遭難することになった。
食料も尽きて、4人とも力つきてしまいそうになったときに一人の見習いが先に力尽きてしまう。
その見習いの肉を残りの3人が食べてしまったのだ。
その食べれた見習いの名前は「リチャードパーカー」。
ミニョネット号事件で先に力つき、肉を食べられた人物と全く同じ名前だったのだ。
これは偶然なのか、それとも必然だったのだろうか?事実は小説よりも奇なり。