サイボーグとは『サイバネティック・オーガズム』の略称、広義的には自動制御系から生じた技術と生命体を融合したものを定義とする。

人工臓器や、心臓機能を補助するペースメーカーを埋め込むなど、身体機能を電子機器や人工物で代替させたモノを指す。

歯科治療のセラミック義歯も、広い意味ではサイボーグの一種と言える。
サイボーグと聞くと、どうしても近未来的なSFチックな世界をイメージさせられるだろうが、中世には既に存在していたのだ。


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右腕にナイフをつけたイタリアの戦士

考古学者は当時、頭のない馬、数体のグレイハウンド、そして埋葬された人骨を発見された。

人骨は何百体にものぼり、おそらく敗戦した兵達を弔った簡易墓地があったのだろう。
発見された白骨死体は中世イタリアの戦士のモノだった。

その中で、とある白骨体は腕を切断されており、代替品としてナイフを装着していた。

推定死亡年齢は40~50歳、当時なら歴戦の兵士と呼ばれてもおかしくはない。

切断されていた骨の端には成体力学的圧力の兆候が見られ、プロテーゼ(補綴/欠損した部位と機能を人工物で補助)して内臓したナイフを使用したことが示唆された。

つまり、この戦士は『右腕にナイフを移植して、戦場に立っていた』のだ。まさに『事実は小説より奇なり』といえる。


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隻腕の兵士はどのように戦い抜いた?

かのクリミアの天使、ナイチンゲールが現れるまで、負傷兵達を看護する衛生環境の劣悪さは改善されず、感染症で死亡する者も少なくなかった。

ナイチンゲールが生まれるより以前に戦っていた隻腕の兵士の存在はまさに奇跡的なものだ。

ローマのサピエンツァ大学の考古学者、イレアナ・ミカレッリが率いる研究者チームは、イタリア北部のロングバード基地に埋蔵された骨格の、不思議な追加箇所を研究した。

身体のいくつかから手がかりを見つけ、手の代わりに使われたナイフは『何年も使用されていた可能性』が示された。

それは男性の口、特に右の歯の部分が極端に摩耗していたのだ。

これはおそらくプロテーゼした部分を『ストラップで補助していたからでは?』とされている。

戦場であれば空いている左腕に盾か剣を持つことを考えれば、補助具を調整するのに掴む代わりに歯で食いしばるしかないのだ。

変形した骨格に残る義手の痕跡

信憑性を高める要素は他にも残されている。

例えば、彼のナイフを装着した肩部分はC字型に隆起するように発達していた。

これは、口でプロテーゼ装着時に、長時間に渡って肩を伸ばした状態で、固定されていた可能性がある。

ストラップで補助しているとはいえ、傷口が再び開いてしまったり、ナイフが抜け落ちて締まっては意味が無い。
固定できるまでの治療期間を考えれば、数週間単位になるだろう。

さらに発見当時の白骨は、右腕が肘で曲がるようにされ、腕は胴体にかかり、ナイフの刃と切断された腕部が整列していた。

近くにはD字型のバックルと、おそらく革製と思われる有機物も発見されている。
これがストラップとして使用されていたものだと言われている。

しかし、この兵士はなぜ義手をつけることになったのか?

発掘された164人の墓のうち、この隻腕の男性は『適切に癒合した右腕をしていた』そうだ。

研究者は以下のように推論を述べている。

研究者研究者

前腕骨折の方向は角度をつけて一気に斬り落としたものと思われます。彼は医学的介入や刑罰の結果として、腕を切断した可能性が高いでしょう。もし治療なら、偶発的な落下により右腕が壊死するほどの骨折が生じたこともありえます

中世期は生活と紛争は常に隣り合わせだった。
この老兵も街を守るために、自らの肉体を武器に変えて戦地に赴いたに違いない。