2020年の東京オリンピックに向けて、日本国内では外国人に対応できるよう英語力の強化が早急に求められている。

しかし、これまでのツケが回ってきたように『英語が苦手』という意識をお持ちの方は多いだろう。そもそも、日本語と英語では文法の形式が違う

小学校教育にも取り入れられるようになったが、現在の日本で教育されている英語の文法そのものが『古い』という説まである。

例えるなら『外国人に明治の言葉使いを教えても実際、役立つのか?』ということ。

おまけに「英語を話すのはなんとなく恥ずかしい…」という感情が、学習意欲の妨げにもなっているのではないだろうか?

例え日本訛りだとしても、将来的に小中学生の英語への苦手意識は克服してもらいたいところ。

これについて東京大学が『英語を第二言語として学習する、日本の中学生の神経反応』を研究していた。


スポンサーリンク


優位になる活性部分が男女によって異なる

男子学生は文法規則に関する部分で、脳の活性化が確認された

一方、女子学生はスピーチ(音韻)や、単語・文の意味(セマンティクス/言語)など、より広範囲の言語情報に脳が反応していた

この発見こそ、少年少女達へどのように英語を指導すべきか、最適化させるために役立つに違いない。

幼い子供達は生活の中で、楽しく簡単に母国語を学べるが、第二言語を改めて学ぶことは精神が成熟したことで無意識的な記憶が難しくなる。

脳が新しい言語をどのように扱うかについて、多くの研究が行なわれているが、性別や年齢など、新たに変化した舌の動き方がどのようなものかまだ解っていない。

ホマエフ氏の指導を受けたチームは、このテーマのためのターゲットを絞った人々をほとんど研究していなかった。

日本の中学生は、第二言語として学校環境で英語を学ぶ。

第二言語の学習背景には、神経科学への取り組みの大部分は『アメリカの移民集団』と、『ヨーロッパの多言語環境』の子供達に基づいている。

学生達には、標準化された英語のテストと、新たな情報の整理・操作・分析に使用された脳内の一次記憶装置『ワーキングメモリ』のテストを行なった。

その後、文法上の誤りを含む英語の文章を聞かせ、機能的近赤外分光法(fNIRS)および事象関連電位(ERP)測定を用いて、脳活動の観察してみた。

fNIRSは脳の活動部分を示し、ERPは脳の活動時間とともに、どのように変化するかを示すのだ。


スポンサーリンク


性別によって処理される脳分野が異なる

その結果、男子と女子が文章を扱う方法には驚くべきギャップが明らかになった。

女子はテストで、より良い結果を出し、より多くのワーキングメモリを持っていたのだ

だが、男子はワーキングメモリと記憶性能間に相関が見られなかった

しかし男子は英語が苦手、という結論付けにはならない。

脳活動を見るとfNIRSは、『男子は正しい文章を聞いたときに脳の前部が活性化』を示し、『女子は後部でより多く活性化していた』ことが判明した。

脳の前部分は『統語的な処理』すなわち規則的な文法の理解と結びついている。それに対し、脳の後部は広範囲の言語処理能力に関連している。

興味深いことに、男子は誤った文章に対して全体的に誤答が減少したのに対し、女子は反対に増えていた。

ERPもギャップを示し、男子は誤った文章に強く反応していた。これは『構文的処理』に関すると考えられる。女子は再テストの際に、正答と誤答に対して僅かに反応を示すだけだった。

性別に合わせた教育が今求められている

求められるイメージは第二言語に対処するための『2つの異なるアプローチ』だ。

男子には効率的な処理と、規則的な文法に潜む『誤りを見つけ出す思考』を活用する。
女子には文章の『直感的な理解』を達成するために、より広い範囲の言語情報を引き出せるようにする。

テスト結果の大まかな見方では、単に英語を学ぶだけなら『女子が向いている』と言えるかもしれないが、このメカニズムは教育において非常にユニークなものには違いない。

英語を学ぶ方法の明確なイメージは、少年少女の強みと弱点に直接対処することで、飛躍的に改善されるだろう。

この研究は、学校教育の教授法に革新をもたらす可能性を秘めている。