20.59.27
こちらの記事(海面上昇によってオーストラリア沿岸は生活圏でなくなる!?)で

海面上昇でオーストラリア沿岸が危機にさらされているとお伝えしたが、その際に『全世界に影響を及ぼす』ということも言及していた。

この海面上昇問題は、島国にとって想像以上に深刻な問題かも知れない。無論、その対象には『日本』も含まれるだろう。


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海面上昇の危機

南米・チリの領土に属するイースター(現地名でラパ・ヌイ/パスクア)島といえば、ヒト型の石像である『モアイ像』と聞けば思いだす方も多いのではなかろうか。

古代ポリネシア人が多くの遺産を残した、この火山島も海面上昇によって、海の底に沈もうとしている。これもまた、時代の波に飲まれようとしている、と言うのだろうか?

上昇した海面は海岸に点在する、数十の古代像に到達し始めている。このままでは、波の水圧によって徐々に削れ落ちていくことも予想される。

イースター島に存在するモアイ像は『1100~1680年の間に彫像された』とされており、イースター島の文明崩壊した原因と手がかりになる、と信じられてきた。

しかし、「海面が2100年までに6フィート(およそ1.8メートル)上昇し、モアイ像は波に完全に飲まれてしまう可能性がある」と、国連は警告している。


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イースター島のユニークな文化遺産の数々

イースター島はユニークな文化遺産が数多く存在し、その大部分について今だ判明していない部分も多い。

重大な『歴史遺産の喪失』に直結することは疑いの余地のない事実だ。これについて、コロンビアに拠点を置くニューヨークタイムズ特派員、ニコラス・ケイシー氏は島を訪問し、直面する問題についての特徴を調査した。

島にある謎の1つに『島を守る巨大な石像がどのように移動されたか』というものがある。

これは古代エジプトのピラミッド建造技術と同じように、現代では計り知れない手法を用いた可能性も考えられる。

1722年、オランダの探検家がイースター島を発見した後も、何十年に渡って石像がどのように転がされたのか、ラパ・ヌイ島の人口がどのように減少したのか、不明点は多く残されている。

ラパ・ヌイとは、ポリネシアの言葉で『広い大地』や『大きな端』という意味がある。

ポリネシア人にとって大きな大陸だった三角の島は、最も近い陸地から1,289マイル離れた、南太平洋の中に位置している。

スコットランド・ハイランド地方大学の考古学教授、ジェーン・ダウネス氏は島の遺跡について以下のようなコメントを残した。

考古学者ジェーン・ダウネス氏

島で起きたことに対するシンプルで直接的な答えがでないことを示す為に、より多くのデータを追加する必要性が出てくる

しかし、風景とは気付けばすぐに移り変わっているモノだ。

海底に埋もれる過去の遺産たち

島の遺跡群が海中に沈んでしまえば、調査は困難になり、ラパ・ヌイ島で勃興したポリネシアン達の文明を知る手がかりが無くなってしまう恐れがある。

ラピュヌイ国立公園を管理している、先住民族組織のカミーロ・ラプ氏は特派員のケイシー氏に、「自分の祖先達が守り抜いた土地や墓を守り抜くことは、不可能でしょう。私自身もそう感じている」と悲観的なコメントを述べた。

古代から守り抜いてきた土地が、自然によって消滅させられる。防ぎようが無い脅威であるとは言え、先住民達もやりきれない想いでいっぱいに違いない。

調査によれば、海抜地域の低い太平洋諸島は、すでに海面上昇の影響を受けているという。

フィジー北部のサンゴ環礁である、小規模のマーシャル諸島、キリバスは高波の影響を受けやすい状態にある。南太平洋のソロモン諸島は、海面水位が世界平均より上昇しており『ホットスポット』と命名された。

海面水位の上昇は、太平洋の広大な荒廃した環礁の浸食、浸水を引き起こす恐れがある。

イースター島の主な経済資源は、海岸に点在する遺跡群を主にした、観光業にある。アフ・トンガリキやモノリスの群像、アナケナビーチ、アフ・アカハンガ。

この主要な遺物の並ぶ台地が危険にさらされていると、考古学者たちは警鐘を鳴らしている。これは人類史の終焉への前触れなのだろうか?