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現代社会に根強くはびこる『ストレス

その多くは人間関係、家庭環境、経済問題など身の回りを取り巻く環境が要因となっている。団体行動、同調性を過度に重視している現代日本においては、もはや社会問題と言えるだろう。

慢性的なストレスの解消には『走ること』が有効であるという発表がされた。


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BYUの最新研究で解明したこと

ストレスの対処法として軽度の運動が有効であることは、多くの人に共感されている。

BYU(ブリガムヤング大学)の新たな調査によると『運動中、特に走ることが有効である』とした。

ストレス下では、記憶を保護することにも役立つようだ。

学習と記憶の神経生物学ジャーナルに新たに掲載されたこの研究は、『走ることで、学習と記憶を担う海馬に慢性的なストレスが及ぼしていた、負の影響を緩和する』可能性を示している。

BYUの生理学・発達生物学の准教授であるジェフ・エドワーズ研究主任は以下のようにコメント。

研究者ジェフ・エドワーズ研究主任

トレーニングは、慢性ストレスの記憶に対する負の影響を排除するためのシンプルでコストパフォーマンスの高い方法です

太股を覆う大腿四頭筋・ハムストリングスは、人体の中でも最も大きな筋肉だ。それだけ多くの筋肉を動かすためには、脳から多くの信号を発射することにも繋がる。

記憶力の向上にも役立つという説も簡単には否定できないだろう。

海馬の内部では、ニューロン間のシナプスが経時的に強化されるとき、記憶形成およびリコールが最適に生じる。

シナプスが強化される過程は『長期増強(LTP)』と呼ばれており、神経細胞を同時刺激することで、神経細胞間の信号伝達が持続的に向上する現象を指す。

慢性的、あるいは長期のストレスはシナプスを弱め、LTPを低下させ、最終的に記憶に影響を与える。

研究者ジェフ・エドワーズ研究主任

『運動とストレスとが共存するとき、LTPレベルは低下せず、正常なままであること』を発見しました。


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マウスで臨床実験を実行

1群のマウスは4週間に渡って走る車輪を使用し、平均5km/日の走行を。別の1群のマウスは座らせることにした。

その後、各群の半数に段差のあるケージでの歩行や、冷水での遊泳など、ストレスを誘発しやすい環境で過ごさせる。ストレス誘導の1時間後、LTPを測定するために電気生理学実験を行い、両者の違いを検証した。

その結果、走っていたマウスは、走らなかったマウスよりLTPを多く獲得していた。

また、運動しつつストレスを受けたマウスに記憶力をテストする迷路走行実験すると、ストレスを受けていないマウスと同様に活動出来ることを究明。

研究者ジェフ・エドワーズ研究主任

運動するマウスは座っていたマウスよりも、迷路をスムーズに突破出来た』ことを発見しました。

この知見がもたらすもの

この知見は『慢性的なストレスが脳に及ぼす負の認知的影響から、学習および記憶機構を保護するために誰でも出来る方法であること』を実証した。

つまり、運動したマウスのほうがミスが少なかったということでもある。

加齢とともに体力が衰えたり、仕事の精神的な疲労から、どうしても運動を控えがちになってしまう人は多い。

今回の実験では『走る』ことを基準にしているが、歩いたり昇降したりするだけでも、少なからず良い影響が出てくるだろう。座り仕事が多い職業なら、なおのこと『歩く』ことを意識してみるのは大切そうだ。

記者記者

運動は大切なのですね。今回のわかったことを一言で言うならなんですか?

研究者ジェフ・エドワーズ研究主任

一言でいうなら、学習と記憶を改善する理想的な状況はストレスを経験せずに運動することです。

我々はストレスをコントロールすることはできないが、運動量をコントロールすることは可能だ。ストレスが脳に及ぼしているマイナス要因は、体外に排出することができる。

運動と縁遠い生活をしている者にとって、今回の発見は非常に役立つもの。是非とも参考にして欲しい。