ナノマシンとは文字通り、0.1~100nm(ナノメートル)サイズの機械装置だ。

医療現場ではアルツハイマー、ガンの早期発見に役立つとして導入しようという大規模な動きが見られている。

将来的に期待されているナノマシンだが、ボン大学の研究機関シーザー(caesar)でテストドライブが実施されていた。

開発者はナノ構造を持ち入り、回転モーターを構成。

特定の方向に動くことが出来る機械を手がけてきたが、今回はDNAの環状構造を用いたマシンを完成させた。

この結果については国際学術誌『ネイチャー・テクノロジー(Nature Nanotechnology)』に詳細が掲載されている。


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ナノマシンは体内を『泳ぐ』

ナノマシンは化学エネルギーを動力として稼働する。

指向性の動きを行なうときは複雑なタンパク質、および核酸(RNA)構造を利用。

原則は自然界に沿ったもので、例えば細菌は前進するとき鞭毛(べんもう)を使って推進する。ナノマシンも同じように細胞間を泳いで活動するのだ。

ボン大学のシーザー研究所、アメリカ・ミシガン大学の両研究チームはDNAナノ構造を導入した。

試作されたナノマシンは、2つのリングをチェーンのようにリンクさせている。

ボン大学のライフ・アンド・メディカル・サイエンス(LIMES)研究所のマイケル・ファムロック教授は以下のようにコメントしている。

研究者ファムロック教授

1本のリングはホイールとして機能し、もう一本は化学エネルギーをエンジンとして機能させます

『エンジンつきの一輪車』というイメージが近いだろう。

この小型車両サイズは約30nm。

駆動エネルギーはタンパク質に含まれる『T7 RNAポリメラーゼ』という酵素を活用する。

エンジンとして機能するリングで結合されるこの酵素は、DNA配列に基づいて、RNAの連鎖を合成し、DNA環の回転運動中に放出される化学エネルギーを使用する。

ファムロクチーム主任でレポート著者のジュリアン・バレロ(Julián Valero)博士はこのように報告している。

科学者バレロ博士

回転運動に連動して、合成されたRNA鎖はRNAポリメラーゼの糸のように成長していきます

また、DNAナノチューブトラック上のマーキングを使用することによって、エンジンから突出したRNAスレッドがナノマシンの移動経路を維持するために活用されている。

通路を確保しておくことで活動をよりスムーズなものにしていくのだ。


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試験の成果と今後の課題

テストドライブでの稼働距離は240nmだった。

試運転を経てファムロク氏はこのように語っている。

研究者ファムロック教授

トラック(記録媒体)は必要に応じて拡張できます。次のステップでは、移動距離を拡大するだけでなく、試験記録上でより複雑な課題を計画しています

内蔵接合部分では、ナノマシーンがどの方向へ進むか決める必要がある。

科学者バレロ博士

私たちの方法を使って、マシンの進路を事前に決めることが出来るでしょう。将来が楽しみです。

もちろん、科学者達にはナノマシンの仕事ぶりを肉眼で確認することが出来ない。

ナノマシンの表面構造を走査した、原子力顕微鏡を使用することで、連動したDNAリングを視覚化しているのだ。

さらに、ナノマシンのホイールが実際に回転していることを確認するため、蛍光マーカーを使用した。

ナノマシンが通過した経路には、蛍光がしっかりと反映されており、ホイールも機能している事が判明。

しかし、ホイールが1回転するまで約10分かかった。それでも「研究者にとっては大きな一歩だ、ナノマシンを任意の方向へ動かせる可能性がある」とファムロク氏はコメントとしている。

ナノマシン技術はもはやSF世界の創造物ではなくなろうとしている。

人類が思い描いていた『未来』は、もう手が届くところまで来ているのかも知れない。サイエンスチームの今後の研究には期待が膨らむばかりだ。