『真空掃除機』というのはご存じだろうか? 実はすでに世間には出回っている家電のひとつだ。

通常の掃除機はファンを回すことで吸引するが、真空掃除機はファンを回転することで真空状態をつくり、塵芥を吸収するのだ。

イギリスに本社を置くダイソンのサイクロン式掃除機が主に有名だろう。
しかし、これを『絵筆代わり』にしようと思いつくのだから、アーティストというのは実にユニークだ。


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新しいアートの形

Mr.Head(ミスターヘッド)と名付けられた掃除機ロボットは、2015年に東京で『生まれ変わった』と言えるアーティストだ。

irobot社によって製作された掃除機だが、塗料入りのボトルを装備し、一連の自律的なコマンドを与えられて作品を作り上げる。


プロデューサーはなんと日本人。フランスで活躍する、フォトグラファーの山口正人(Masato Yamaguchi)氏だ。

山口正人(Masato Yamaguchi)氏自身のアート作品も洗練されたもので、無駄がない。しかし淡泊な訳ではなく、作品の放つ雰囲気は目を引きつける魅力が十分ある。

さて、ミスターヘッドの描画は従来の自律制御された掃除機のように稼働しつつ、塗料を滴らせて描いていく。

完成品はドリッピング(吹き流し)画法と呼ばれる、飛沫をまきあげたようなものだ。

まさか掃除機ロボットが、ジャクソン・ポロック、アーシル・ゴーキーなど、偉大な画家の作風に近い抽象画を作り上げてしまうとは。
もしかしたら、ミスターヘッド自身が芸術品と呼べるかも知れない。

しかし残念なことに、ミスターヘッドはまだ活躍の場に恵まれていない。

そのため現在はパワーアップのため休暇中だが、いずれミスターヘッドの仕事ぶりが世界に知れ渡ることになるかもしれない。なにせ、世界初のアートを描く掃除機ロボットなのだから。

気になるところは『ミスターヘッドはどのように判断して描いているのか?』という点だろう。

春らしいキュートなアートボードは、新たに付属したチューブとアクリル塗料で満たされたペットボトルを使用しているのは、動画から見てもお解り頂けるだろう。


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ロボットが思考して誕生するアート

ミスターヘッドはチューブの周りを回転させながら、塗料を自律して分配している。

つまり、山口正人氏の指示でプログラムしたものではなく『ミスターヘッド自身が思い描いた作品』なのだ。適切な量と配分を判断した結果がアートになっているのだろう。

改良を重ねたミスターヘッドは絵画制作がよりスムーズになった。さらに使用する色を選択し、より自律的に作業を行なう精度も向上している。

天気や気温などの外部環境の要因は、色の選択にも影響を与えるが、システムの向上したミスターヘッドは完璧な描写を仕上げてみせるだろう。

現在、ミスターヘッドはさらなる改良を目指し、キックスターターにて投資(クラウドファンディング)を募集している。投資家にはオリジナルプリントされたTシャツが贈られるそうだ。

古来から、著名な画家や音楽家達は、彼らを支えるパトロン(後援者)が付き物だった。これを機に世界最先端のアーティスト・ミスターヘッドのパトロンになれば、ちょっとした自慢話にできるではないだろうか?