8.33.41
海洋生物は想像を絶する長い時間かけ、それぞれの環境へ適応してきた。その適応力を『深海』に向けた生物。それは、現在も多くの謎を抱えている。

今回、発見された小さなタコも、何故このような姿になったのだろうか?

発見されたのはダンボタコ


発見されたのは『ダンボタコ』と命名された。

その由来はディズニーの作品である、空飛ぶ象『ダンボ』のように、大きな耳のようなヒレからだ。

ダンボタコは深海数千メートルの、冷たく暗い海の底で生活している。発見したアメリカの海洋学者達は、卵から孵化した、ほんの数センチほどのダンボタコの撮影に成功。

このダンボタコの映像撮影と内臓のMRIスキャンに基づいて、デラウェア自然史博物館、ボン大学、ミュンスター大学病院、およびウッズホール海洋学研究所の研究者らは、大人のダンボタコと驚くべき類似性を記録することが出来た。

この発見については生物学術紙『Current Biology(カレントバイオロジー)』にも掲載されている。

チョウチンアンコウやリュウグウノツカイなど、深海の生物は環境適応しようと、奇妙な外観に変化していた生物も少なくはない。

また深い海の底には光が届かない。そのため、目の機能が退化した深海魚も数多く存在する。
例としてあげたチョウチンアンコウは、イリシウムとも呼ばれる誘引突起から餌を誘い込むなど、視覚に頼らずに餌を確保する方法もそれぞれ確立している。

海洋学者達達は約6,600フィート(約2,000メートル)でサンゴを生育したり、調査船ロナルド・H・ブラウンでは深海とほぼ同じ水温で深海生物が保管されている。

小さなタコの生態調査

その中で、生物学者のティム・シャンク博士は、2cmほどのダンボタコの卵が孵化した直後の、小さなタコの生態調査に成功した。

孵化した直後にフィンを動かし始めたダンボタコを発見し、シャンク博士はその様子をすぐに撮影して、後の生態調査のためにビデオや生まれたてのダンボタコを保護している。

当時のシャンク博士は、ウッズホール海洋学研究所に勤務し、アメリカ東海岸の海底山脈を調査する探検隊に参加していた。海底山脈は海嶺とも呼ばれている、海中独自の地形だ。

デラウェア自然史博物館のリズ・シェア博士は以下のようにコメントしている。

研究者リズ・シェア博士

このような深海のタコが孵化する場面を、直接観察されたのは初めてでした。約3cmのダンボタコは、ゾウの耳のような形をしたフィンがあります

ボン大学の進化生物学研究所のアレクサンダー・ジーグラー博士は、シェア博士のコメント共に補足をしている。

研究者ジーグラー博士

ティム氏のビデオが示すように、ダンボタコは成長すると約10倍の大きさになります

この珍しい観察対象の詳細についてはミュンスター大学病院のコーネリアス・フェーバー教授の研究チームにより、高分解能の磁気共鳴スキャナを使用して調査が行われた。

ジーグラー博士はMRI画像を使用し、ダンボタコの内部器官のおおまかな3Dモデルを作成。

研究者ジーグラー博士

特に驚くべきことは、孵化直後の栄養源として機能する『大きな卵黄嚢』が、子供のダンボタコが深海で独立し、獲物を捕獲できるようになるまで役割を果たす点です

他の研究達もその生態構造に驚きを隠せなかった。内臓器官、神経系の構造が成体生物の構造に酷似していたためだ。

成体生物とは
生殖が可能となった大人の生物を指す。
研究者ジーグラー博士

浅い水域で棲息するタコは通常、成長するまで仲間がケアしますが、深海に住まうダンボタコにとっていかなる進化上の利点も与えないようです

つまり、誕生と同時に『自立できる生態』が成立しているのだ。

内臓器官のサイズ比と形状に基づき、ダンボタコは絶対的な新規性があるとして、ダンボタコは生物分類のGrimpoteuthis(グリムポータシス)属に稀少なサンプルとして割り当てることが可能となった。

研究者シェア博士

北大西洋の深海動植物はまだ完全には解明されていません。残念ながら種を決定することは出来ませんでした

特に、深海は、まだ地球規模の生物多様性地図上に、多くの不明点を浮き彫りにしている。研究者らは刊行物において、この繊細な生息地を保護することの重要性を再度、強調した。

深海トロール漁や鉱業開発により、深海のサンゴとそこに生きる動物達を含め、生物の生息地は現在も危険に晒されている。研究の手が届かない未知の領域は、いまだ数多く存在することを忘れないで欲しい。